2017/04/05

植木の名人の話

孟子の「助長」の話を書いたので、似たような話も書いておこう。

柳宗元の「種樹郭橐駝伝」での話である。原典は読んだことはないが、松本肇『故事成語の知恵』(日経プレミアムシリーズ)と、森三樹三郎『老子・荘子』に概要が載っていた。孫引きのようなものである。

「橐駝(たくだ)」とは「駱駝(らくだ)」のことらしい。植木屋の郭さんは背中が曲がっていて駱駝に似ているところから、駱駝の郭さんと呼ばれていた。郭さんは植木の名人で、その植えた木は枯れず、よく茂り、よく実をつけたので人気があった。

あるとき柳宗元が郭さんに植木の秘訣を尋ねたところ、次のように答えた。

「秘訣というのはありません。ただ樹木の自然の性にしたがっているだけです」と。

植木というものは、木の根が広がり、土が平均にゆきわたり、古土が落ちず、木が倒れないくらいに土を固めておくことが必要とされる。その条件を整えさえすれば、あとは動かしたり揺すったりする必要はない。木の求めるようにするだけで、余計なことをしないだけだという。

木の成長を早めたり、よく実をつけさせたりすることはできず、成長を妨害しないようにするだけである。木は自然に成長する。

しかし、他の植木屋を見ていると、心配しすぎている。爪で引っかいて枯れていないか調べたり、根を揺すって土に隙間がないか確かめたり。木を大事にしているようだが、かえって危害を加えている、と。

『孟子』のたとえでも、この植木の名人の話でも、環境を整えることは大切ではあるが、作物(植木)自体には何もしていない。直接引っぱったり、揺すったりすることはしていない。

植物を育てるのと人を育てるのではやり方は違うかもしれないが、その育てる対象の特徴・性格を知り、それに合わせた環境を整えることは共通していると思う。

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